鹿児島で働く新61期のノキ弁が,仕事や法律について考えたことを吐出します。                         有用なアウトプットを生産すべく試行錯誤の日々の記録です。

2010年2月22日月曜日

屋久島雑感

鹿児島大学ロースクール(KULS)の
リーガルクリニックに同行して,
3泊4日で屋久島に行ってきました。
一応非常勤講師としてのお仕事です。
学生と一緒に島内の数箇所を回って無料法律相談。
広報を頑張ったらしく,それなりに予約が埋まっていました。
学生にとってはかなりハードな授業だと思う。
これが必修というのは,しんどいかもしれない。
でも,選択だと人が集まらないだろうしなぁ。
(写真は隙間時間で唯一観光できた千尋の滝)


以下,雑感。

① 法律相談
修習指導のベテラン弁護士から「法律相談が一番難しい」
と教わって,仕事を始めてからも,一番しんどいと思ってたけど,
改めてそのことを認識しました。日ごろ人に見られないので,
今回の同席で最初のころの緊張感を思い出した。
今回,二人の弁護士の相談を見ることができたのも良かった。
やはりそれぞれにスタイルがあり,正解はない。でも,相談者のの評価は平等。
相談者に対する満足度調査は自分でもやってみたい。

② 司法過疎
年に1回の無料法律相談だからこそ,
相談する決心がつくというのは新たな発見。
受任まで考えたら,常駐のほうが良いとは思うが,
巡回ゆえのメリットというものもあるのだ。
例えば十島村に比べて,屋久島には簡裁があるからまだまし,
という司法過疎の根深さ。
ビジネスとして成立することが必要条件だが,
奄美をみれば,それだけで十分条件を満たさないことも明らか。 

③ 司法制度改革
現役受験生に合格者数の適正水準を問うのは酷に過ぎる。
答えが得られたとしても,自分が合格できる水準とうものでしかないだろう。
受験生の気持ちは受験生にしか分からないのだなぁ。
他方で,当事者である法曹志望者が,
いまだにこの国の司法制度全体に対するビジョンを持ち得ないこと自体,
構造的な問題は何も解決していないことの証左ではある。
折悪しく不況と重なって,不合格者が確実に生まれる制度そのものの是非が,
改めて問われているが,当事者からの声は聞こえてこない。
個人的には三振した人が法務省か最高裁の前で焼身自殺したりする可能性を,
かなりリアルに想像していたのだが。
みんな自分のことでいっぱいいっぱいだろうし,落伍者という負い目が口を重くするのだろう。
合格者ですら就職先がない状況で,不合格者の問題には手が届きにくい現実。
声を上げられない状況に加担しながら,声を上げないことを指摘するのは,残酷だ。

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