鹿児島で働く新61期のノキ弁が,仕事や法律について考えたことを吐出します。                         有用なアウトプットを生産すべく試行錯誤の日々の記録です。

2010年2月11日木曜日

結果と過程と納得

先日,控訴審の判決言渡のため,
高裁(宮崎支部)に行ってきました。
初の控訴審(民事の経験もない)で,
自分は控訴審からの参加でしたが,
大変良い勉強になった事件でした。
でも,結果は控訴棄却。
原審が実刑判決だったので,
実質実刑判決をもらった感覚です。
これは2回目ですね。やっぱり応えます。
新米弁護人としては,自分の力量不足で依頼者を刑務所に
送ってしまったのではないかという不安が拭えません。


もちろん,控訴趣意書を作成するときは,
どうやったら控訴人に有利な事情を拾って,
裁判官に納得してもらうか,
事実認定についても法律論についても,
散々頭を悩ませました。
おそらく純粋に起案という意味では,
最初の1年の中でもっとも考え抜いたものだったと思います。


言渡しでは,判決理由を事細かに説明されました。
こちらが無理筋なのを承知で主張している部分でも,
丁寧に拾ってひとつひとつ反論を加え,潰されました。
しかも,結局事実取調べされなかった証拠についても,
判決には斟酌できないとしながらも長々と言及。
経験豊富な主任弁護人に聞いても,
ここまでの詳細な理由説明はそれほどあることではないそうです。
その分本気で潰しに来てるなと感じました。
あるいは,上告しないようにという,
暗黙のメッセージなのかもしれません。


後日,控訴人である依頼者と打ち合わせ。
残念な結果について詫びました。
依頼者は,「国選ではなく私選で依頼をして頑張ってくれたから,
この程度の量刑で済んだのだと思う。
どうせ(刑務所に)に行かねばならないのなら,
上告せず早く済ませてきたい。」
とおっしゃってくださいましたが,
まだまだ青い刑事弁護人である自分は,
素直には喜べませんでした。


民事であれば,課程を評価して結論に納得するというのは良くあるし,
むしろ民事での訴訟提起後の和解(訴訟上でも訴訟外でも)は,
そこを目指して落としどころを探る作業だと思います。
でも,刑事は結論が刑罰権の行使なだけに,
過程への評価より結論により重みがあるように感じます。


ロースクールの刑法の先生(現学長・理事長)の
そのまた先生のお言葉だったと思いますが,
弁護人は負けるべき事件は負けなければなりません。
でも,私自身,諸々の事情から,
実刑は回避すべき事案と考えていただけに,
敗北感と申し訳なさが強く残る事件となりました。


次の目標は宮崎での1勝です。

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