鹿児島で働く新61期のノキ弁が,仕事や法律について考えたことを吐出します。                         有用なアウトプットを生産すべく試行錯誤の日々の記録です。

2010年1月11日月曜日

NITA研修傍聴メモ

NITA研修修了しました。
同時通訳機は使わずに済みました。
専門分野は内容の予想がつきやすいということに加えて,
プレゼンのプロであるアメリカの法廷弁護士が、
日本人向けにする講義ということもあり,
8割くらいは理解できたと思います。
さすがに疲労がたまってきた2日目の後半あたりからは,
集中力を維持できず,理解度も落ちましたが(爆


加えて今回は,メモをマインドマップで取ってみました。
リスニングに集中力が必要なのと,
書くときに英語のスペルが思い出せなくて,
途中で止めようかとも思いましたが,
何とか最後まで通しました。
正直,あんまり取れなかったと思っていたのですが,
鹿児島県弁護士会への報告書を作成してみると,
配布資料とあわせて十分な情報が取れていました。
記憶が新しいこともあるのでしょうが,
マインドマップの威力を感じた体験でした。


以下は,自分の備忘メモ。
(1) 結論
    法廷弁護技術はまさに「技術」であって,
   裁判員裁判を担う弁護士が必ず習得すべきものである。
(2) 具体的技術
    弁護の目的は,裁判員を説得することである。
    そのために,
          ①ケースセオリーを設定し,
          ②冒頭陳述で弁護側のストーリーを提示し,
    ③証拠調べで事実によってストーリーのディティールを固め,
    ④最終弁論では弁護側のストーリーを選ぶ理由を述べることが必要である。
    以下,それぞれについて補足する。
    ア ケースセオリー
      ケースセオリーはテーマとも呼ばれる。
             短いセンテンス(90秒以内,10語以内)で,
     常識にかなった,説得力あるケースセオリーを設定することが,
     弁護のスタートであると同時に,ゴールでもある。 
      そのためには,ブレインストーミングが有効である。
     弁護側にとって良い事実と悪い事実をともに全て挙げた上で,
     それらのTOP5を抽出する。           
     その際の基準は,弁護人と裁判員とが共有する普遍的な感情
             (emotion)である。
    イ  最終弁論
       最終弁論の目的は裁判員を説得することにある。
      メンタルにもフィジカルにも裁判員の注意を引き付けなければならない。
       冒頭陳述が事実をストーリーとして語る場であるのに対して,
      最終弁論は議論の場である。弁護側のケースセオリーが
      合理的で共感できるものであることを,コンパクトに伝えるべきである。
       そのためには,
       (ア)アイコンタクトをする
       (イ)ペーパーを持たない
       (ウ)修辞的技術(比喩,例示など)を使用する
      ことが肝要である。特に(ウ)については,「わさび」のように,
      少量かつ効果的な使用が求められる。
        また,裁判員が容易に同意する事項からはじめ,
      その後に,争点に言及するのが良い。
    ウ 主尋問
       主尋問の目的は,証人自身ににストーリーを語らせることにある。
      そのためには,オープンな質問が必須である。
       組み立てとしては,証人に信用性を与え,
      場面を設定してから,尋問を始める。
      何も知らない裁判員に,証人を売り込むため,
      語彙,声のトーンや抑揚,ジェスチャーなど,
      裁判員の心を掴む工夫が重要である。
    エ 反対尋問
      反対尋問は,主尋問とは異なり,尋問者のためにある。
     その目的は自分の結論に向けて,事実を積み上げていくことにある。
      ここでは,尋問者がコントロール権を握り,
     クローズドな質問で誘導しなければならない。
      その際,1つの質問で1つの事実しか聞いてはならない。
      質問は端的に,修辞を用いず,明確にする。
      一般から細部に,有利な点から不利な点に,尋問を進めていく。
      自己矛盾供述の弾劾は3C(Commit: 肩入れさせる, Credit: 信用付与,
      Confront: 対面させる),重要事項の欠落を指摘するには3C+I(Commit,    
      Importance: 重要性の指摘,Credit, Confront)  
   オ 冒頭陳述
      冒頭陳述ではストーリーを語れ。
    それは,弁護側のケースセオリー=テーマの
           サマリーを裁判員に示すことである。
    ドラマチックで注目度抜群のつかみから,幅広い事実で詳細を広げ,
    最後に裁判員に無罪の必要性を訴えて,弁護側への投票を祈る。

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