鹿児島で働く新61期のノキ弁が,仕事や法律について考えたことを吐出します。                         有用なアウトプットを生産すべく試行錯誤の日々の記録です。

2010年1月27日水曜日

塀の中を覗いてみた

先日鹿児島刑務所を見学してきました。
修習中に奈良少年刑務所の見学経験がありますが,
あちらは明治41年竣工の歴史的建造物。
放射状の通路はまんまパノプティコンです(汗
鹿児島刑務所は昭和61年に現在の場所に移転してるので,
こちらはずいぶん新しい。


ちなみに現在は宮崎との県境の山奥にありますが,
移転前は鹿児島市の真ん中
と言ってよいような場所にありました。
その頃僕は小学生だったので,
そんなことは知りませんでしたが。


鹿児島刑務所の特徴は,農場での解放処遇。
山の中にいくつも茶畑があります。
もちろん,塀の外です。
監視は付きますが,30人に2人とかのレベル。
茶畑ですからしゃがめばすぐ視界から外れます。
もちろん,そういう処遇を受けるには,
それなりの選抜があるのでしょうが,ちょっと驚きました。


もう一つの特徴は,食事が美味しいこと。
ほとんど不満が出ないそうです。
下はおそらく通常の1/3程度の試食用。
冷えた麦飯はちょっとしんどいですが,
おかずは確かに悪くない。



そもそも今回の見学会は刑務所側が企画して,
県弁に持ち込んだっぽいです。
厳めしい響きの監獄法が,
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律,
という長ったらしい名前に変わってはや数年。
刑務所も自己変革の時代といったところでしょうか。
自分たちが国会議員か何かかと思ってしまうほどの,
丁寧かつ親切で熱のこもった案内でした。
日本でもPFI刑務所が導入されたし,
ある意味では生き残りを掛けたPR戦略の一環なのでしょう。


懲役は言うまでもなく刑罰で,
しんどくないと意味がない訳ですが,
一方で刑務所というところは受刑者の矯正
(あんまり好きな言葉ではないけれども)
ということも考えなければならない。
そもそも矯正教育なんて可能なのか,
という大問題はひとまず措くとしても,
この両立は悩ましい。
ただ,それを目指し始めているような「気配」はありました。



2010年1月16日土曜日

習性の修正

人間,嫌なことは見ないことにしたがる習性があります。
僕にも多分にも。
ギリギリまで無視して,
でも,ずっと気になって,ストレスを感じてる。
そんなとき,解決方法はひとつしかありません。
正面から向き合うこと。
それだけです。
解決できることもあれば,できないこともある。
でも,やらないかぎり終わりません。
「見えないものはないものだ」とは大学時代の友人の言葉ですが,
現実はそんなに甘くない
(それが分かっているからこそ,
彼女はあえて,この言葉を好んで口にしたのでしょうが)。

ただ,幸いなことに,その手の問題は,
覚悟を決めてやってみれば意外なほど
あっけなく解決することがほとんどです。
終わってみて気づくのです,
あれほど自分の心を苦しめたプレッシャーの大半は,
手をつけないことそのものに起因するのです。
問題自体はそれほど深刻でも困難でもないのです。

そういったことを,僕は30数年の人生で学んできたはずなのですが,
いまだにこの習性は修正しきれていません。
一時は,それに成功したと感じたこともありました。
それでも,日々雑多な仕事をこなす中で生ずる,
ちょっとした気後れや躊躇いが,
徐々に目を背けたくなる厄介な問題を生むことはよくあります。
現状でもいくつか,そういう問題を抱えています。

実は,今日はそのうちのひとつが片付きました。
時間的にギリギリまで追い詰められての決行でしたが,
やってしまえばなんてことのない話でした。
この感覚を忘れないように,
今日のブログを記します。

見る前にひっ飛べ!!

2010年1月11日月曜日

NITA研修傍聴メモ

NITA研修修了しました。
同時通訳機は使わずに済みました。
専門分野は内容の予想がつきやすいということに加えて,
プレゼンのプロであるアメリカの法廷弁護士が、
日本人向けにする講義ということもあり,
8割くらいは理解できたと思います。
さすがに疲労がたまってきた2日目の後半あたりからは,
集中力を維持できず,理解度も落ちましたが(爆


加えて今回は,メモをマインドマップで取ってみました。
リスニングに集中力が必要なのと,
書くときに英語のスペルが思い出せなくて,
途中で止めようかとも思いましたが,
何とか最後まで通しました。
正直,あんまり取れなかったと思っていたのですが,
鹿児島県弁護士会への報告書を作成してみると,
配布資料とあわせて十分な情報が取れていました。
記憶が新しいこともあるのでしょうが,
マインドマップの威力を感じた体験でした。


以下は,自分の備忘メモ。
(1) 結論
    法廷弁護技術はまさに「技術」であって,
   裁判員裁判を担う弁護士が必ず習得すべきものである。
(2) 具体的技術
    弁護の目的は,裁判員を説得することである。
    そのために,
          ①ケースセオリーを設定し,
          ②冒頭陳述で弁護側のストーリーを提示し,
    ③証拠調べで事実によってストーリーのディティールを固め,
    ④最終弁論では弁護側のストーリーを選ぶ理由を述べることが必要である。
    以下,それぞれについて補足する。
    ア ケースセオリー
      ケースセオリーはテーマとも呼ばれる。
             短いセンテンス(90秒以内,10語以内)で,
     常識にかなった,説得力あるケースセオリーを設定することが,
     弁護のスタートであると同時に,ゴールでもある。 
      そのためには,ブレインストーミングが有効である。
     弁護側にとって良い事実と悪い事実をともに全て挙げた上で,
     それらのTOP5を抽出する。           
     その際の基準は,弁護人と裁判員とが共有する普遍的な感情
             (emotion)である。
    イ  最終弁論
       最終弁論の目的は裁判員を説得することにある。
      メンタルにもフィジカルにも裁判員の注意を引き付けなければならない。
       冒頭陳述が事実をストーリーとして語る場であるのに対して,
      最終弁論は議論の場である。弁護側のケースセオリーが
      合理的で共感できるものであることを,コンパクトに伝えるべきである。
       そのためには,
       (ア)アイコンタクトをする
       (イ)ペーパーを持たない
       (ウ)修辞的技術(比喩,例示など)を使用する
      ことが肝要である。特に(ウ)については,「わさび」のように,
      少量かつ効果的な使用が求められる。
        また,裁判員が容易に同意する事項からはじめ,
      その後に,争点に言及するのが良い。
    ウ 主尋問
       主尋問の目的は,証人自身ににストーリーを語らせることにある。
      そのためには,オープンな質問が必須である。
       組み立てとしては,証人に信用性を与え,
      場面を設定してから,尋問を始める。
      何も知らない裁判員に,証人を売り込むため,
      語彙,声のトーンや抑揚,ジェスチャーなど,
      裁判員の心を掴む工夫が重要である。
    エ 反対尋問
      反対尋問は,主尋問とは異なり,尋問者のためにある。
     その目的は自分の結論に向けて,事実を積み上げていくことにある。
      ここでは,尋問者がコントロール権を握り,
     クローズドな質問で誘導しなければならない。
      その際,1つの質問で1つの事実しか聞いてはならない。
      質問は端的に,修辞を用いず,明確にする。
      一般から細部に,有利な点から不利な点に,尋問を進めていく。
      自己矛盾供述の弾劾は3C(Commit: 肩入れさせる, Credit: 信用付与,
      Confront: 対面させる),重要事項の欠落を指摘するには3C+I(Commit,    
      Importance: 重要性の指摘,Credit, Confront)  
   オ 冒頭陳述
      冒頭陳述ではストーリーを語れ。
    それは,弁護側のケースセオリー=テーマの
           サマリーを裁判員に示すことである。
    ドラマチックで注目度抜群のつかみから,幅広い事実で詳細を広げ,
    最後に裁判員に無罪の必要性を訴えて,弁護側への投票を祈る。

2010年1月6日水曜日

NITA研修

明日から土曜日まで,大阪弁護士会で行われる,
法廷弁護技術の研修に傍聴参加してきます。
本場アメリカからNITA(National Institute for Trial Advocacy)の
講師が来る機会なんて鹿児島じゃまずあり得ないですからね。
同時通訳機が貸与されるので,これも初体験で楽しみです。

鹿児島県弁護士会からは1人分だけ旅費が出るのですが,
結局希望者は僕だけでした。
ま,イソ弁は刑事弁護の研修で2日もさぼるのは気が引けるだろうし,
中堅どころ以上はお忙しいでしょうしね。
こういうときにホイホイ行けちゃう自由度がノキ弁の数少ない利点ですね。
まぁ,結局起案間に合わなかった一件は持って行く羽目になりそうですが。

夜は大学や修習の同期との予定を入れたし,
ついでに実家にも寄って,梅田で買い物してくるつもり。
阪急メンズ館ってどんなんでしょうな。
こちらもまた楽しみです。

でわでわ。

2010年1月4日月曜日

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
(もう4日ですが・・・。)
今回の年末年始は31日と2日が通常国選待機だったので,
ひとり鹿児島で過ごしています。
ちなみに結局呼び出しはありませんでした。
大晦日は本庁の1番だったので,覚悟していたのですけどね。

思い返せば,去年の今頃もひとり鹿児島で過ごしてました。
年明けから始まる仕事のプレッシャーが大きく,
あまり余裕はありませんでしたが,
帰郷した旧友と大晦日元旦と飲み歩いてたような記憶があります。

学生時代は自然と年度で考えていたのか,
あまり新年って感じはなかったのですが,
1月から仕事を始めたのと,税務上の区切りということで,
またこの1月から2周目スタートという気分です。

1年前と今を比べて何が違うか。
1 民刑合せて53件受任。うち25件終結。
2 81冊の本を読了。
3 20以上の研修に参加(独習含む)。
4 コペンとBoseのCDプレイヤー購入。
挙げてみるとこんなところかと。

1はやっぱり絶対量が足りないと痛感します。
その分じっくりやれて良いのだけれど,
今年は効率を上げて数をこなしたいですね。
まぁ,奄美に行けば嫌でもそうなるのでしょうが。

2もやっぱり少ない。
せめて100冊は読みたいところです。
仕事が詰まってくると余裕がなくなるのよね。
しかし,これは朝4時に起きれば解決する問題なのです!!
あと,2,300冊のマンガを読んでいるので,
これを自分の中でどう位置付けるかですな。

3は1が少ないことの反映です。
今後は機会が減ると思うので,
いかにオンラインを活用するかということが課題。

4はまぁ,収入に見合った生活ということで。
次の目標はお掃除ロボット「ルンバ」です。
しばらくかかりそうですが・・・。

こうして挙げてみると,1年前考えていた資格取得ができていないのが痛いですね。
TOEICは受験したものの準備不足から低スコア。
簿記2級は出願したのに受験せず。
結局,仕事しながら(法律以外の)勉強時間を確保できなかった訳ですね。
これも今年の課題。

まとめると,今年の課題は。
1 仕事の効率化=量の増大
2 読書の習慣化→朝4時起
3 法律以外の勉強の習慣化→取得資格の明確化
といったところです。

もちろん,これに加えて,新事務所開設&運営というハードな課題もあります。
いずれにせよ,時間を如何に有効に活用するか,
そのための仕組みづくりが引き続き直面する問題です。

では,今年もよろしくお願い致します。

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